その光景を遠くで見ていた


自室の窓のふちに腰をかけて足で空を切る。

エレストールに見つかったら行儀が悪い、と怒鳴られることは必死。


「なるほど…みんなが朝から気を張り詰めているのはこのせいね」



つまり、裂け谷の力総動員でをレゴラスの魔の手(?)から守ろうというもの。



その気遣いは確かに嬉しい。



だが、この調子ならレゴラスたちが闇の森に帰るまでは外に出られないということ。


そんなの冗談じゃない。

第一、は以前のレゴラスのキス事件はまだ怒っているのだ。


その仕返し、しなければ気がすまない。



風になびく髪を手櫛で整えるとにやりと笑い自室を飛び出した。

その表情は双子のエルラダンとエルロヒアにそっくりだった。







「では、姫の自室がある別館はどこにあるんですか?」

エルラダンとエルロヒアにテラスに案内されたレゴラスはまだ諦めていないようで。


「それはいくらレゴラスでも教えるわけにはいかないな」

「そうそう、エレストールに聞いたら?」


その言葉通りにちょうど紅茶を持ってきたエレストールにレゴラスはその瞳を向ける。

だが、もちろん帰ってくる言葉は同じ。


「いくら王子でもお教えできません」


そう言うと優雅な仕草で紅茶をよく温められたカップに注ぐ。

その香りは今年初めに摘まれた茶葉。


芳しい香りがあたりを包み込む。



「実際さ、レゴラスが別館の場所が分かってもたぶんの部屋には行けないよ」

「だって、別館入り口は武官がいつも見張っているし、
 の部屋も普段は鍵が掛かってるしね」


その双子の言い分にレゴラスは少し機嫌を悪くする。

少し落ち着こうとエレストールに差し出された紅茶に口をつける。


“美味しいですね”そう言おうとすると同時に後ろから鈴を転がしたような声が聞こえる。



「いくらあたしの部屋に鍵が掛かっていても、あたしが外に出ていたら関係ないわよね」


ゆっくりとした動作で彼らに近づく

彼女の登場に双子と顧問長は焦り、レゴラスは一気に喜びを露にした。


!」

「どうして部屋から出たの!?」

「そうですよ!今日は自室で勉強なさってくださいとあれほど…」


慌てふためくエルラダン、エルロヒア、エレストール。

だが、は至って冷静。


「勉強っていっても…いつまでも部屋にいては息がつまるわ。
 それに闇の森からのお客様ですもの、
 館の主の娘が一言も挨拶をしないなんて失礼でしょう?」


そして改めてレゴラスに向き直る。

後ろでは別館の見張りをしているはずのグロールフィンデルへ悪態ついている
エレストールの声が聞こえた。


「お久しぶりです、レゴラス王子。
 ようこそ、裂け谷へ」

にっこりと笑顔で挨拶をする。

そんなにレゴラスの次の行動はというと。


…相変わらずお美しい…是非もっと近くで…」


ゆっくりと手をさし伸ばそうとする、が。









かちゃ、






剣の柄の音が聞こえる。

とレゴラスの間には白刃の剣。



その剣は鋭く研ぎ澄まされ、水でも切れそうで、
また美しい装飾が施されていて見るものの目をひきつける。

だが、とても大きい大剣でこんな剣を易々と扱えるのは彼だけだろう。


「お待ちください、王子。
 いくら貴方でも前科がおありですからね。
 これ以上姫に近づかぬように」


「グロールフィンデル殿…」


レゴラスの白い陶器のような肌に一筋の汗が流れる。


「グロールフィンデル、下がって良いわ」

が一言言うとグロールフィンデルは即座に下がり剣を鞘に収める。



そしてまた笑顔で口を開いた。

「レゴラス王子、貴方は以前どうしてあたしにキスを?」


するとレゴラスはまったく悪びれた様子も無く答えた。


「何故って、貴方を愛しいと思ったから、では不満?」

まさか面と向かって言われるとは思わなかったようで一瞬怯む




「グロールフィンデル!貴方は何をしてるんですか!?
 あれほど姫を部屋から出すなと…」

グロールフィンデルに怒鳴り散らすエレストール。

だが、彼は至って冷静だ。


「いや、意外とこれは面白いことになるかもしれないぞ」

「何が面白いんですか!また姫に何かあったら…」


するとグロールフィンデルはにや、と笑った。




「だから条件をつけるんだよ」


「条件ですって?」



エレストールが何のことかと聞き返そうとするとが先ほどより
大きいトーンで言った。



「その台詞に嘘偽りはないですか?」

一向にはその笑顔を崩さない。

もちろんレゴラスも然り。


「もちろんです」


するとは一瞬にや、と笑いグロールフィンデルと目を合わせた。


「では、その心意気確かめさせていただきましょう」


「試す?一体どうやって…」





疑問を唱えるレゴラスにはケレブリアンそっくりな笑顔で答える。







「うちの武官長、グロールフィンデルと剣で勝負してください。
 一本でもとることが出来たら、あたしもそれ相応の対応をしましょう」



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2004/09/26


ヒロイン性格悪いかも…

次あたりグロールフィンデル活躍できるかな?
前回扱いが酷かったので…(汗
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