「何者だと聞いているのだ!!」


銀色の髪を持つ青年は再度尋ねるが、
動揺しているたちがそう簡単に答えられるわけが無い。


だが、いつまで経っても何も言葉を発しない3人。

とうとうその青年は自らの剣に手を掛けた。


「ここは不審者は罪人として捕らえられ、
 侵入者は有無を言わさず処刑、そのことを知っているのか?」


“処刑”あまり穏やかではないその言葉に3人の混乱はピークに達する。


「ま、待ってください!!あたしたち気が付いたらここに…」


とにかく必死に弁解しようとが駆け寄る、が。






カチャ…






首元に突きつけられる銀色の刃。

少しでも動けば躊躇せずの細い首を切断するだろう。


「たとえ女、子供といえど不審者だ。
 それに、気が付いたらここにいたというのはどういうことだ?」


動いても殺される、返答しだいでも殺される。


以前アマンに行った時も剣を突きつけられたが、あの時はマエズロスのおかげで助かった。


だが、今回はこの緊迫した状況で助けがある確立は皆無。



の身体は小刻みに震え始めた。




だが、妹のそんな状況を黙って見ていられるエルラダンとエルロヒアではない。


二人は目で合図を交わすと、小さく頷く。


そしてまずエルロヒアが近くにあった小石をその青年の顔面めがけて投げつけた。

だが、その青年はすばらしき反応速度でその小石をぎりぎりのところでかわす。


が、それに伴い生じた怯み。



そこを狙い剣の切先がずれたことを確認するとエルラダンがの手をとり
そのまま3人は反対方向へ走り去った。



「侵入者だ!!捕らえろ!!」

銀髪の青年が大声を上げた。



するとどこからともなく無数のエルフの戦士が姿を現したのだ。


走りながらその光景に驚く3人。

だが、足を止めてはいけない。



止めたら間違いなく殺される。


「くっ…数が多すぎる…」

顔をしかめるエルラダン。


「多少なら武器が無くても応戦できるけど…この数じゃ…」


今回はどうやらエルラダンもエルロヒアもまともに武器を持っていないようだ。

グロールフィンデルから体術の指南は受けていたが、
中には自分達より大柄なエルフもいる上に数としても絶対的に不利。


絶体絶命とはまさにこのことだろう。



3人は角を曲がったところで大きく茂った垣根の裏に隠れる。


「はぁ…はぁ…い、一体どうしたら…」

エルラダンに腕を引かれて走ったため、いつも以上に息が上がる


エルラダンもエルロヒアもほどの疲労は見えないものの、
状況から焦りは感じているようで。


「まず、ここがどこか知る必要があるよね…」

「……知るって言っても大体検討は付いたよ…」


エルロヒアの言葉にもエルラダンも賛同した。



エルフはもともと同族同士では剣を交えるようなことはしない。

それは、フェアノールのあの事件によりさらにそう思うものが増えた。


そんな中で同族であるエルフに剣を向ける彼ら。

さらに、必要以上に侵入者や不審者を警戒する態勢。


さらに目の前に広がる白い壁。


間違いなく、かの国だろう。



第三紀、中つ国にはもちろん存在しない。

上級王の一人、トゥアゴンにより建造されたエホリアスに囲まれた隠れ王国。







ゴンドリン






「……う、嘘でしょ……」


信じられないと頭を抱える

だが、エルラダンとエルロヒアはお互いを見ると、肯定をするように瞳を閉じた。


「だ、だって…あたしたちはロスロリアンにいて、
 ガラドリエル様の水鏡を見ていただけですよ!
 まさか…こんなことって……」


思わず声を荒げる。


だが、そんなの声に先ほどの銀髪の青年が3人の存在に気づいてしまった。


「見つけたぞ!!」



その声により再び無数の兵士が集まりだす。



!!来い!!」


再びエルラダンに腕を引かれて駆け出す。


エルラダンとエルロヒアはもともとエルフの中でも俊足だ。

オーク狩りの際、馬がいては不意を付けない場合があるため
そういったときは自らの足で進んでいく。


だから、もし2人だけならこの状況を逃げ出すことが可能かもしれない。


だが、今一緒にいるはほとんど谷から出たこともないのだ。

身軽とはいえ、走るとなると普段から鍛えている兵士達にはすぐに追いつかれるだろう。



「…っ……もっと早く走れない?」


じれったいのかエルラダンが尋ねるが、当のはすっかり息が上がってしまっている。


「ご、ごめんなさい……」


自分のせいで二人まで危険な目にあわせてしまう。

そう思ったら目頭が熱くなり涙があふれる。


だが、が気を捕られていたせいか足元にある小石に気づくことが出来なかった。

小石に躓き地べたにその身を打ち付ける。

その拍子にエルラダンの手も離れてしまう。



「「っ!!」」


数歩先でが転んだことに気づいた二人は立ち止まり振り返る。


だが、追う側から見たら絶好のチャンス。

銀髪の青年は後ろに抱えていた弓を構えると狙いをに定めた。



「危ない!」

!避けろ!!」


エルラダンとエルロヒアの警戒の声が響く。

だが、が反応し起き上がる前に弓から矢が放たれた。


その矢尻はちょうど地面に放り出されていたの脚のふくらはぎ辺りに突き刺さった。


「あぁぁぁああっ!!」

今まで感じたことの無い激痛が走る。

「「っ!!」」


急いで駆け寄る二人。

だが、はその矢尻に着いていたのであろう眠り薬によってゆっくりと瞳を閉じた。

「……っこの…」

「よくも……」


大切な妹に傷を着けられたのがよほど悔しいのだろう。

二人は大勢のエルフを目の前にして怯むことなく立ち向かった。


年若いエルフの二人だが、武術にかけてはすばらしい才能がある。

目にも留まらぬ速さで数人のエルフを気絶させる。


だが、数ではどうしても不利だった。

不覚にも後ろを取られると頭を殴られそのまま二人も気を失った。




「すばらしい腕の持ち主だな」

倒れたエルラダンとエルロヒアを見下ろし銀髪の青年が呟いた。

部下に指示を出し二人の顔を見る。


「ほぅ…珍しい……双子か。
 瓜二つだな」

どこかで見覚えのある顔立ちのような気がすると心の中で呟く。

一方、うつぶせに倒れているを数人の部下が反転させる。


「隊長、これらの侵入者、いかがなさいますか?」

「そうだな…処刑してカラグドゥーアに投げ捨て……」


そこまで言いかけて青年は驚いたように目を見開いた。

そう、彼が驚いた対象、それは


倒れているの横に跪きよくその顔を見下ろす。

「………処刑はしない。
 トゥアゴン様の下へ連れて行く」

「え!?し、しかし…」

「命令だ!急げ!!」


命令と言われ、困惑しながらも部下達はとエルラダンエルロヒアを連れ城へと向かった。


「なぜ……あの子供……イドリル姫に似ているんだ…」


困惑しながらその青年は深く考えながら空を見上げた。


空はまるで海のように青く澄んでいた。



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2004/11/30

捕まっちゃいました〜w(お気楽だな…おい…
なんだか自分でこの物語の矛盾を発見してしまいました…
でも、直したら話し自体がなくなるので無視の方向で…

皆さんも気づいても黙って鼻で笑ってください…
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