さて、ようやくおかゆも完成。
(双子作のではなく本当に普通のおかゆ)


それをトレイに置いてエレストールはの部屋へ持って行く。



「あら、顧問長。それを姫の部屋へ?」

途中会ったのはエレストールの同僚である女性顧問官。


「ええ、食事をと思いまして。」

「そうですか。
 …ですが、いくら貴方でもそう気安く姫の部屋に入るのはどうかと思いますよ?」


にっこりと裏のある笑顔を浮かべる女性顧問官。

さすがのエレストールも面を喰らう。



「冗談ですよ。こういう状態では仕方ありませんもんね。
 それに姫は顧問長を一番信頼しているようですし。」

にっこりと笑う女性顧問官。

そしてさらに言葉を繋ぐ。


「でも、相手は主のご息嬢。変な気はおこさないように。」

「………え?」



真っ白になるエレストール。

その反応を満足したかのように女性顧問官は軽快な足取りで顧問官室へと向かった。



「…彼女…苦手だ……。」


珍しく同僚に苦手意識を抱くエレストール。



別にに変な気を起こすわけがエレストールに限ってないだろう。

ただ、周りが少なからずそういう目で見ているとなると自分の行動も少しは制限する必要がある、
無駄に真面目な顧問長はの部屋までの道のり、色々考えていた。








数回のノック後、
ゆっくりと扉を開ける。


「失礼します。姫。」

だが返事は無い。

仕方のないこと。


は今赤い顔をして寝台に横になっているのだから。




「…エレストール?」

少し掠れた声。

少し咳き込んだせいかいつもの鈴を転がしたような高い声が出ない。


「お食事をお持ちしました。
 食べてください。」

サイドテーブルにトレイに乗せたおかゆを置くがは少ししかめっ面をする。



「…いらない……」

「しかし、食べないと風邪治りませんよ。」

「…食欲ないんだもん……」


頭がグラグラして身体もダルイ。

そんな状態では致し方ない。



「薬だって飲まないといけないんですよ。
 薬は食事の後じゃないと効果ありませんよ。」


「でも……」


そこまで言いかけてふいにサイドテーブルのおかゆを目にする。



「…これ、料理長が作ったの?」


そのおかゆは本当になんの変哲もないただのおかゆ。

が食べられる範囲の量に癖のない野菜が数種類。


だが、料理長の手に掛かるともっと手の込んだ、野菜だけではなく
魚や肉等入れさらに盛り付けにまでこだわるだろう。


つまり、今そこにあるおかゆは質素なのだ。

(だが、派手はおかゆというのもイマイチ想像できないが)




「…実は、私が作ったんです。」

少し困った表情で打ち明けるエレストール。


「エレストールが!?」

今まで彼が料理をするなんて聞いたことがない。

いや、出来ないこともないだろうが裂け谷では料理長がいて
彼は宮廷顧問長。


料理をする必要がないのだ。



「でもどうして…?」

「…料理長が見つからなくて…。館内を探すより私が作ったほうが早いかと思いまして。」



本当はグロールフィンデルと双子に制裁を加えていたら時間があまりに経過してしまったので
自分で作ったほうが早い、という結論に達したからだった。

ちなみに双子と武官長は食べ物を無駄にした罰として、
自分たちが作った恐ろしいミルクおかゆをすべて食べるよう言われたのだ。



「一応味見もしたので不味い事はないと思いますが…。」


“やはり料理長に作り直していただきましょう”とトレイを持ち上げ立ち上がろうとする。



「待って!!」

急に身体を起こしたせいか眩暈に襲われ、それをすぐにエレストールが支える。


「あたし…食べるよ。エレストールが作ってくれたんだもん。」


熱で潤んだ瞳で弱弱しく微笑む。

たどたどしい手つきでトレイを自分の上に置きスプーンで口に運ぶ。



が、それは出来立てのおかゆ。



「っあつっ!!」

当たり前である。



カシャンッとトレイにスプーンを落としてしまう。


「だ、大丈夫ですか!?」

焦るエレストール。


「う、うん…熱くてびっくりしたけど…。」



下を出し熱を冷まそうと近くにある水差しから水を出して飲んだ。


「すみません…もう少し冷ましてから持ってくるべきでしたね。」

「……じゃあエレストールが冷ましてよ。」



そう言ってにっこりと微笑むは、“あ〜ん”と口を開く。

もうここまでくると説明は必要ないだろう。



つまり、恋人同士の王道、ふぅふぅと冷ましてあ〜んと口に運ぶあれだ。

さすがにテレを隠せないエレストール。


だが、当のはそんなことも気にせず口をあけて待つ。




観念したようでエレストールはスプーンを手に取りの口に入る範囲のおかゆを掬うと
自らの息で冷ましそれをの口に運ぶ。


適度に冷まされたおかゆを味わうとにっこりと笑う



「おいしいよ。ありがとう。」



熱のせいで頬が上気し、それでも礼を述べ微笑むにエレストールは強い庇護欲にかられる。


先ほどの女性顧問官の言葉。



それはエレストールに少し違った形で現れたようだ。



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2004/06/05



これ書きながら血液型に関してのテレビをみていたんですが…

やはり毒苺は典型的AB型のようです…。
恐ろしいくらい当てはまります…


それにしても今回はちゃんとエリー夢っぽくありません?
(誰に聞いているんだろう…
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