◆◇◆FIRST LOVE-Second Story-◆◇◆








先日の事件からすでに一ヶ月。


の外出禁止令もなんとか解除され、谷にはいつも通りの平和な空気が流れていた。






だが、はその一ヶ月前とは明らかに変わっていた。






まず、いつも事あるごとに泣いていたが泣かなくなったということ。


双子のエルラダンとエルロヒアが愛情の裏返しとでも言うように妹をからかうが
はそれを簡単にあしらう。



その反応に双子の王子達は少し物足りなそうな表情。





そして、もう一つは…















「姫、今日は薬草学の勉強です。予習復習はしていますか?」


以前はこの一言を恐れていただが、赤い表紙のノートを取り出し得意げな表情。



「もっちろん。しっかり終わらせているわよ。」


「よろしいです。最近がんばっていますね。」


エレストールに褒められ“へへへ〜”と嬉しそうに笑う。




以前は大嫌いだった勉強も最近では胸を躍らせて楽しみにしている。


理由は簡単。





はこの谷の宮廷顧問長兼の教育係のエレストールに恋をしたからである。



以前は苦手だと思っていた顧問長だったが、この間の事件後どうしても気になる存在になっていた。


そんな理由があれば勉強に身が入るのも当たり前。




本を片手に自分の知識を織り交ぜつつ、
分かりやすく説明するエレストールを見つめて嬉しそうに微笑んだ。












   ********************************************










「あ…」


それは言語学を教えてもらっていたときだった。


の髪をなぞりながら小さな飾り石がいくつか降ってくる。


それと同時に侍女達によって結い上げられた銀髪がパラパラと落ちてくる。




「あ、あれ?」


の声にエレストールもそのことに気づく。


「髪留めが壊れてしまったみたいですね。」



50年ほど前にアルウェンがくれた髪留め。


蝶をモチーフにケバくならない程度の飾り石。

それが金色の鎖で繋がれている。




それは以前アルウェンが使っていたもの。


それを綺麗と絶賛したにくれたのだ。





姉として慕い、女性としても憧れているアルウェンから貰った髪留め。

嬉しくて毎日大切に使っていた。



だが、形あるものいつか壊れる、その髪留めにもそれが来たようだ。


「嘘…お姉さまから貰った大切な髪留めなのに…。」

零れた飾り石を拾って悲しそうに呟く。


「大丈夫ですよ。ただ鎖が切れただけでしょう。
 あとで指先が器用な者に話して直してもらいましょう。」



少し崩れながらも蝶のイメージを残している髪留めを手に取りエレストールが言う。


も嬉しそうな安心したような表情で笑った。




バラバラになった飾り石と残りの髪留めをエレストールに渡すと再び本へ目を落とす。


すると髪留めが無くなり顔の横に下りてきた髪に浮遊感を感じた。




「え、エレストール?」


「姫は髪が長いですからね。このままの状態でしたら勉強の邪魔になるでしょう。」


そう言っての長い銀髪を手櫛で後ろに集める。

それをエレストールが使っているほんの一つだけ飾り石がついているシンプルな髪留めを解き
の髪を結い上げた。



「え、こ、これエレストールの髪留めでしょ!?」

「姫の物に比べて質素ですが、髪を止めるだけならいいでしょう。」

「で、でも…それじゃあエレストールの髪が…。」

「これで姫のやる気が持続されるなら安いものです。差し上げますよ。」



軽く束ねられた髪と後ろの髪留めの感触を手で確かめる。




「あ、ありがとう…。大切にするわ。」



少しだけ頬を赤らめ、嬉しそうに微笑んだ。



















その後、は嬉しそうに歌を口ずさみながら中庭を散歩していた。


エレストールから髪留めを貰った上に髪まで結ってもらった(どちからと言うとただ束ねただけ)
のだから嬉しくないわけが無い。



スキップをしながら中庭の池に面した木に腰を下ろす。

キラキラと輝く木漏れ日が気持ちいい。


ふと、の友達でもある綺麗な色をした小鳥が数羽の肩にとまった。


ピィピィと首を傾げながらさえずる鳥達。

指を鳥の足の前に差し出すとその指先に乗っかった。




「あら、今日は随分ご機嫌ね。」


その小さな友達に話しかけると小さくさえずり返事をする。



「あたしもね、すっごいご機嫌なのよ。エレストールからこの髪留めもらったの。
 お姉さまから頂いた髪留めが壊れたのは悲しかったけど…やっぱり嬉しいわ。」


以前は泣いてばかりだったが最近嬉しそうにしているのを小鳥達も見ているので
皆も嬉しそうに羽を羽ばたかせる。






鳥達のさえずり声、木漏れ日、優しく頬を撫ぜる風、小さく揺れる水面、
心地よい午後のこの時間を全身で感じていた。











が、とある2つの台風もとい二人の人物によってその心地よい午後は荒れ模様になる。




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2004/03/14


今度はなんとなくエレストール夢っぽいですか?
(誰に聞いてるんだろう…)

さて、最後の二つの台風ですが…言わなくても分かるでしょう…。


あの二人大好きなんです!!
いつも飄飄としているけど、母が傷つけられたということで
オークを片っ端から殺しまくるダークなことろもある…。

父のエルロンドも双子で悲しい別れをしているので、
ラダンとロヒアはずっと一緒にいて欲しいです。

余談ですが、個人的にこの二人も中つ国から西の地へ旅立ったと信じてます…。
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