「「わっ!!!!!!」」


「きゃぁぁぁっ!!!」



同じ声が二つ後ろから響いたのと同時に背中に衝撃が走る。


「ら、ラダンお兄様…ロヒアお兄様…」



それが兄である双子のエルラダンとエルロヒアだということが理解できるまで少し時間が掛かった。



「「あはははははっびっくりした〜?」」

の両側に座りながら大笑いする双子。


「び、びっくりしましたよ!!」



ドキドキと心臓が早鐘を打っている。

小鳥達もと同じように驚いて空に飛び立ってしまった。




「僕らだって別に気配を消してたわけじゃないよ?」

「そうそう、が気づかないだけ。」


左右から同じ顔で覗きこまれて笑顔で言い切られるとぐぅの根も出なくなる。






何か考え事でもしてたの?」

「後ろから見ててもボ〜っとしてたの分かったよ?」



が考えていたこと…それはエレストールのこと。

改めて考え直すと見る見る顔が赤くなる。



「な、なんでもありません!!」



その赤い顔を隠すかのように頭を下げてしまう。


双子は不思議そうに同じように頭を下げてを覗き込む。








「あ、そうそう。にいいもの買ってきたんだ。」


「いいもの?」


エルラダンが思い出したようにポケットをゴソゴソと探る。

「さっきこっそり抜け出して人の子の街行ってきてたんだ。
 あ、父上とエレストールには内緒だよ。」



人差し指を立てて“し〜”というジェスチャーをするのはエルロヒア。






「まさか、前みたいに虫の人形とかじゃないでしょうね…。」


以前、この二人が今日みたいに人の子の街へ遊びに行ったとき、お土産だと言ってくれたのは
ものすごいリアルなムカデの人形。



その後、の悲鳴が谷中に響き渡り双子はエレストールに叱られ
芋ずる式に谷を抜け出したこともバレて二人だけで武器庫の武器の手入れを命じられた。

(この時、実はグロールフィンデルもとばっちりを喰らっていた)






「まさか〜違うよ〜。」


「僕らは同じ悪戯はしないって主義なの。」



威張れる主義ではないのは確かだろう。



「今日は本当にいいものだよ。」

「僕ら二人で選んだんだ。」




とことんもったいぶる二人。



も期待と不安で胸がいっぱいになる。


「「じゃあ目を瞑って〜」」




ニコニコと言う双子。

としては目を瞑って何か悪戯されるんじゃないかと警戒してしまって素直に瞼を下ろさない。




「大丈夫だって!」

「絶対の嫌がることしないから」



“ね?”と笑顔で言う兄達。

その笑顔に負けたと言わんばかりに、も警戒しつつその多いな瞳をゆっくり閉じる。





視覚が遮られることにより、エルフの優れた聴覚がいつもより敏感になる。



左右に感じる兄達の気配。


二人はどうやら目で合図をしているらしい。




ゴソゴソという音と同時に、シャラという金属が擦れる音がする。





するとの膝の上で重ねられた手を、おそらくエルロヒアだろう。


彼がゆっくりと表し、手のひらが空に向くような状態にする。




そのごすぐに手に冷たく硬い感触が走る。


急なことには肩を大きく震わせた。



すると、横からすぐに“大丈夫だよ”と言う声が聞こえた。





その冷たい感触は少しずっしりと重く、先ほどの金属がぶつかる音が聞こえる。










「「じゃあ目を開けて〜」」





二人の重なった声を聞き、ゆっくりと瞳を開ける。


葉の間から零れる日差しが眩しくて少し目を細める。









そして二人が買ってきたという手のひらにある土産を見る。



「…これ……」


そこにあるのは大き目の赤い飾り石が目を引く髪飾り。

ハートの型のモチーフになっていて大小様々の飾り石にそれを結ぶ金の鎖。




「これ、絶対に似合うって思って買ってきたんだ。」


「いつもアルウェンから貰った蝶の髪飾りつけてたでしょ?
 たまには僕らがあげた物も使ってほしいな〜って。」







いつもは悪戯ばかりの二人だが、それでも二人はの愛する兄達。

二人ものことを愛しているので、その証拠とでも言うように
木漏れ日が飾り石に反射してキラキラ輝いている。



「可愛い…」


「だろ?って母上に似て銀髪だから絶対金が似合うって思ったんだ。」

「谷はほとんど黒髪のエルフばかりだかシルバーしかないからね。」









“気に入ってくれた?”との顔を覗きこむ二人。


「もちろんです!!ありがとうございます!!」




そういうと目の前にいる二人の兄の首に抱きついて頬にキスをした。




「エルラダンお兄様…エルロヒアお兄様…大好きです!!」







二人は驚くが、からのキスに気を良くして妹の小さな身体を抱きしめる。




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2004/03/14



あ、あれ?ここで一波乱ある予定だったのにすっごいほのぼの…。


なんだか前回あまり双子との対話が無かったので…。

とりあえず、次こそ波乱が起こります…。
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