池の水で冷えた身体を湯殿でしっかり温め新しい服に着替える。


髪もしっかりと水分を拭き取り銀糸がサラサラと流れる。

侍女達がいつものとおり髪を編もうとしたがそれを断り、小さな簪でまとめるだけに留めておいた。




「姫、卿達が執務室でお待ちなので逃げないでちゃんとお会いするんですよ!!」


侍女にしっかりと釘をさされは渋々執務室へ向かう。



兄達の頬を打ち、自分が自ら池に入ってまで大切にしているエレストールから貰った髪留めは
鎖の部分を首に下げてその飾り石の部分を服の下に隠す。






のように子供のエルフにとっては広すぎるこの館を
ゆっくり歩いてとうとう執務室の前にたどり着いてしまう。



首に下げた髪留めの飾り石を服の上から握り締め大きく深呼吸をする。




です。父上いらっしゃいますか?」



少し緊張気味に声を掛けると中からすぐにグロールフィンデルが顔を出した。


「しっかりお体を温められましたか?」

「う、うん。大丈夫よ。」

「では、どうぞ。」



グロールフィンデルがドアを開いて中へを促す。

少し躊躇するものの覚悟を決めて執務室の中へ足を運んだ。







中で待っていたのは頬を冷やしながら床に正座させられている双子の兄達。

そしてそんな二人にクドクドと説教をする宮廷顧問長。



この光景はきっとが湯浴みをしていた約1時間の間ずっと行われたいたのだろう。



「貴方達は何度言ったら勝手に谷を出てはいけないと理解するんですか!!
 しかも人の子の街にまで出て!!これで何度目ですか!!」




エレストールの説教に双子はとがった耳まで下げてしまっている。


その光景を椅子に座って見ているエルロンドは眉間の皺が増えているようだ。




「エレストール、姫も来たことだし王子達の脱走の話はあとにしないか?」


グロールフィンデルの提案に双子は目を輝かせる。



「…そうですね。でも、貴方達はそのまま正座のままですよ!!」




エレストールの言葉に双子撃沈。

滅多にしない正座のせいで足が痺れていたが、その言葉で更に痺れが増した気がした。













「さて、今度はどんなことをしてをからかったんだ?」


エルロンドの言葉に双子は今度ばかりは反論する。



「「何で僕らが悪いって事になるんですか!!」」



双子のもっともな反論。


「現状、今までの行動を統計すると貴方達が加害者と思われるのは仕方ありませんよ。」


エレストールの再び冷たい言葉。



再び双子撃沈。


エルロンドもグロールフィンデルも苦笑いをするものの、否定はできなかった。





「今回は本当に僕らは何もしていません。」

「そうそう、急にが僕らを叩いて池に入っていったんです!!」






必死に訴える双子。



「本当に何もしていないのか?」


エルロンドが尋ねると双子は不機嫌そうにそっぽを向いて文句を放つ。



「そうですよ!ただ僕らは人の子の街で買った髪留めをあげただけなのに。」

「最初は嬉しそうだったのに、急に不機嫌になったんですから!!」



双子の『髪留め』という言葉にエレストールは少し反応する。




よ、何があったか話してみよ。」


双子は嘘をついていないと判断したエルロンドはに少し厳しい口調で尋ねる。



「………。」


服の上からエレストールの髪留めを握り締めながら無言を続ける。


。エルラダンとエルロヒアを何故打った?」



「……だって…兄上達が……」


そこまで言うとエルラダンとエルロヒアが反論する。




「僕らは何もしてないだろ!!」

「僕らはただに髪留めをあげて、それを着けてあげようとしただけじゃないか!!」


「だ、だって兄上達あたしが嫌がったのに無理に髪を編み始めたじゃないですか!!」


「「じゃあ何が嫌だったんだよ!!」」




執務室中に響く兄妹ケンカ。



「静かにしなさい!!!!」


そこにエルロンドの一喝が飛び一気に静まり返る。



「…だ、だって……あたし…悪くないもん!!」



そう言うと踵を返し執務室を飛び出した。


「姫!!」


グロールフィンデルが飛び出したを追いかけようとしたが
それをエレストールに遮られる。



「待ちなさい。今回のこと、私にも少しだけ心当たりがあります。姫は私に任せて
 貴方は王子達を彼らの部屋に連れて行ってください。」


「あ、ああ…」


エレストールはエルロンドに軽く会釈をすると足早に執務室を後にした。




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2004/03/22



今回は兄妹ケンカですね…。
ラダンとロヒアが哀れ…。


しかし…今回の話エルロンドが父親の筈なのにいまいち出番が…。

いつかはちゃんとエルロンドがメインと話を書きたいですね〜…。


次は多分エレストール夢っぽくなるでしょう☆
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