◆◇◆FIRST LOVE-sixth Story-◆◇◆





「これでよしっと。」


高い天井まで届くくらい高い本棚が並ぶ一室。


ここは医学と伝承の大家、最後の憩い館の書庫のさらに奥の部屋。


ここには歴史的に重要な書物が多く保存されている。

そのため普段は鍵が閉まっておりその鍵は顧問長によって厳重に管理されている。



しかし、今日はその堅い鍵も開かれており人影も数人見られる。



理由は書庫の整理と掃除のため。


いくら締め切っているとはいえ、閉まってばかりいたら本も駄目になる。

空気の入れ替えをして埃を取り払い本の修復をする。



この時ばかりは武官たちも剣をマントの裏に隠し顧問長の指示の元、
この秘蔵書庫の掃除にあたる。


普段は外で剣の訓練や見回りをしている武官たちにとって、
本だらけのこの空間は実に居心地が悪い。


その証拠の武官たちを束ねる武官長、グロールフィンデルはあからさまに嫌な顔をしていた。





しかし、彼らのそのありあまる体力と文官達の手際の良い動きのお陰で掃除はおよそ3日で終わった。


そして今は掃除のために取り出した書物を戻しているのだ。

それをここの姫、も手伝っている。





「エレストール。この本はここでいいの?」


「ええ。それでお終いです。」



分厚い本をの丁度胸の辺りの段に入れて全ては終了。


「お疲れ様です。姫も手伝ってくださってありがとうございます。
 汗を流した後でお茶にしましょう。料理長が焼き菓子を作って下さっているそうです。」

「わ〜い!!」


エレストールの淹れてくれる紅茶と料理長のお菓子はまさしく絶品と言える。

その証拠にさっきまで文句タラタラだったグロールフィンデルが速攻でその話に同意する。



それに怪訝そうな表情のエレストールとあえて気にせず早く行こうとせかすグロールフィンデル。


その光景にはくすくす笑っていた。





その時、ふと目に入った。



今日までの掃除で多少ではあるが本棚の移動があった。


その移動した本棚の後ろの壁。


なにやら薄っすらと線が見える。



大体ホビットが一人入れそうな長方形の線が壁に描かれている。



何だろう…そう思いがその長方形に手を触れると、ズ…っとその長方形に沿って微かに壁が凹んだのだ。


驚きのあまり手を即座に離す。





「姫、そろそろ閉めますよ。」


すでにエルフたちは部屋から出ており残るはだけ。

エレストールが入り口で鍵を片手に声を掛けた。



「あ、うん。今行くわ。」



少し気になるがあえてそのままにしてはその場を後にした。










その日の夜、はその日の締めくくりとして自室で日記をつけていた。





『今日は秘蔵書庫の掃除が完了しました。

 普段開放されている書庫も凄い本がいっぱいだけど、
 さすが秘蔵書庫。

 珍しくて貴重な本ばかりだったわ。

 いつかエレストールに頼んで幾つか見せてもらいたいけど…。

 そうそう、その秘蔵書庫で不思議な仕掛けを見つけたわ。


 軽く押したら引っ込んじゃった…。

 すぐ手を離したからそのままだけど…』


「あの先には何かあるのかしら…」


羽ペンを指先で遊びながら呟くと、先ほどのことを思い出してみる。






「「へ〜そんなことがあったんだ。」」


「きゃぁぁぁっ!!」


いきなり後ろから現れた双子の兄たち。

彼らはしっかりの日記を覗き見たようだ。



とっさに自分の身体で隠す


「な、何なんですか!?一体!!こんな夜に!!」


未だに心臓が早鐘を打っている。

しかし対照的に笑顔の双子。



「いや〜実は、谷を抜け出そうとしたのをエレストールに見つかって…」

「見事に説教3時間喰らっちゃった〜。」



“あはははは〜”と同時に笑う双子。

どうやらエレストールの3時間の説教は無駄だった様だ。



「で、どういうこと?」

「秘蔵書庫で何かあったの?」



二人は何か面白そうなおもちゃを見つけたような顔になって
の寝台に腰をかけた。


もそんな兄たちに呆れたようなため息をつくと、
昼間の出来事を思い出すように説明をした。






「へ〜…多分だけど、さらに奥に部屋でもあるんじゃないかな?」


の話を聞いてエルラダンが呟いた。


「部屋が?一体何のためですか?」


「何のためかは僕らにも分からないよ。
 それにその部屋のことはエレストールも知らないんじゃないかな。」


今度はエルロヒアが答える。



「そうですね…。掃除をしている間エレストールは何も言わなかったし。」



“ん〜”と唸りながら考えるを見ながら双子は同時ににやり、と笑った。


「ねぇ、ロヒア…。」

「やっぱり僕らは双子だね。ラダン。」


目で会話をすると今度は二人の妹に目をやった。


不思議そうに首を傾げて勉強机の椅子にちょこんと座っている




双子は同時に立ち上がるとの左右に跪き耳打ちをした。



「「その先に行ってみたいと思わない?」」



思わず左右を見比べて焦る

焦るということは少なからずにもその気持ちがあったという証拠。



「で、でもそこに行くには秘蔵書庫の鍵が必要ですよ。
 その鍵を持っているのはエレストールですし…。」


秘蔵書庫の前に鍵を持ったエレストール。

さしずめ不落の壁といったところだ。



「大丈夫!!」

「ここが僕らの腕の見せ所だよ!!」

「「でも今回はの協力も必要だけどね。」」



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2004/06/26


今回はなんとシルマリルですw
すっごい需要が低そう…。

今回は人気の火精一家で行きます!!
(今回は…と、いうことは…)

何がともあれお付き合いください。
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