「ち、ちょっと待ってよ!!!!ありえないだろ!!」

「今って第3期だろ!!はるか昔に彼は…」


そう、シルマリルを抱き身を投げたのだ。

そんな彼が目の前にいるはずがない。


「そうです、それに今周りを包んでいる光、これって太陽じゃなくてもしかして…。」


ちょうど先ほどから金色の光の中に銀色の光が混じり始めたのだ。


「もしかして、ラウレリンとテルペリオン…?信じられませんけど…。」


この2本の樹は第1期の前の暗黒時代、アマンの地に光をもたらしていた。

だが、その輝きはメルコールと同盟を組んだウンゴリアントによって吸い取られてしまったのだ。



つまり、その輝きがまだ現存し、さらにマエズロスが目の前にいるということから
現在地と時代を考えると、第1期以前のアマンであるといえる。





たち3人はずっと声を潜めて会話をしていたが、
さすがにマエズロスも不振に思う。


「一体何を話している。」



その質問にギクリと顔が引き攣った3人。

とりあえず、この場は自分たちは第3期に中つ国で生まれた
エルフだというのは伏せておいたほうがよい、と言う結論に至った。



「えっと…その…っくしゅん!!」

ななんとかしてこの場を誤魔化そうと考えていると、
寝衣で薄着のためか思わずくしゃみをしてしまった。


、大丈夫?」

「この間みたいにまた風邪ひいたりしないよね?」



その他愛もない兄妹の会話にマエズロスはその黄金色の瞳を見開き驚きの表情。


「エルフは風邪をひかない筈だが…」


その質問にまた3人はギクリと顔が引き攣る。


たちは人間の血も混じった半エルフ(実際にはマイアの血も混じっている)

先日が風邪をひいたように、実は半エルフの子供は純潔のエルフに比べて
病気に対する抵抗力が多少なりとも低いのだ。


だが、この3人が置かれている状況ではまだ人間は生まれていない。




「えっと…まだ子供なので…それに元々身体が弱くて先日風邪をひいたんです。」


ちょっと苦しい言い訳だが半エルフですというよりはずっとマシだ。

そこまで聞くとマエズロスは黙ってのそばまで近寄る。




双子がすぐにを庇うようにするが、彼はそれを気にもせずの前に跪くと
自分の着けていた真っ白なマントをの身体に掛けた。



「風邪をこじらせるといけない。そんな薄着では寒いだろう。」


跪いてもより目線が上の彼は優しく微笑んでその大きな手での頬を撫ぜた。


「そなた達の名は?」


双子は少し困惑した表情だが、妹に危害を加える気がないのは確かなので大人しくその質問に答える。

「兄のエルラダン…。」

「弟のエルロヒア…。」


一応兄、弟と言ったがどうせ初対面の相手には見分けることは不可能。

今だって完璧に見分けられるのは家族とエレストールとグロールフィンデルくらいだ。


だが、マエズロスは意外な一言を言った。

「弟のエルロヒアの方が多少ではあるが落ち着いた表情をしているな。
 私の末の弟たちも双子だから見分けは出来るぞ。」


それには驚くしかない。

実際周りのマエズロスの部下たちも双子の見分けはついていない模様。


それには気にせずマエズロスは目の前に小さなエルフを見据える。


「妹のです…。」


マエズロスに掛けられたマントをギュッと握り締める。


少なからず怯えているのだ。

それを気遣ったのか優しく髪を撫で微笑むと、
すっと立ち上がり周りのエルフたちに声を掛けた。



「これから彼ら3人を宮に連れて行く。
 私の客人としての丁重のもてなすのだ!!」


それに驚いたのは回りのエルフだ。

「お、お待ちください!!こんな素性も知れないエルフを連れて戻るというのですか!?」


異を申し立てたエルフ。

周りの者もそれに同意のようだ。


だが、その反応にマエズロスは厳しい声で言う。



「ではこんな年若い、ましてやまだ幼い少女のエルフたちを置き去りにしろというのか!!
 責任は全て私が負う!!」


そこまで言うとマエズロスはエルラダンとエルロヒアの方を見た。


「聞いたとおりだ。君たちが迷っているのなら我が宮で休むが良い。
 だが、それには君達が持っている武器は全て預けてくれないか?」


だが、双子はその申し出に首を振った。


「そうはいきません。」

「我らは大切なを命を掛けて守らなければなりません。」

「「そのためには武器はかならず必要となります!!」」




いつもは飄々としてをからかって(本人たちは可愛がって)いる双子だが、
その表情は立派なエルフの戦士。


そんな年若い二人の意思にマエズロスは微笑んだ。



「兄として下の兄弟を守りたいという気持ちは良く分かる。
 私にも下に6人も弟がいるからな。だからこそ、私を信用してくれないか?
 君たちの大切な妹君にはなにがあっても危険には晒さない。」



彼の瞳に偽りはなかった。

エルラダンとエルロヒアはお互い目を合わせて一度を見ると
携帯していた武器をすべて近くのエルフに預けた。



それを確認すると、マエズロスは再びの前に跪いた。


「では、小さな姫君。多少の不便を感じるかもしれないが、
 我慢していただけると幸いだ。」


そう言うと彼はの肩に掛けられたマントごと抱き上げると、
そのまま自分の馬に跨った。



エルラダンとエルロヒアは初めに彼ら3人に剣を付き付けたエルフたちと共に馬に乗ることになった。




「では、我らの父の宮、フォルメノスに案内しよう。」


をしっかり腕に抱き、マエズロスが先陣を切って馬を進めた。


その速さはグロールフィンデルの愛馬、アスファロスに勝るとも劣らない。


がふと目線を上げると、彼の長い赤髪は風をなぞり
まるで本当の炎のようだ。



思わず見惚れているとそれに気づいたマエズロスと目があう。


「あ、あの…どうして素性の知れないあたしたちを宮に連れて行ってくださるのですか?」


の質問にマエズロスは笑顔で答えた。




「私だけではないが、以前から妹が欲しかったのだ。」






この赤髪の青年は意外とマイペースなのかもしれない…。



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2004/06/27


このシリーズ本当に書くの楽しいです!!
もうかなりの自己満足だから…。

ちなみに事前に注意ですが、私の中での火精一家のイメージは以下の通りです。


フェアノール=素直じゃない、実は妻に頭が上がらないが自分では彼女を引っ張っているつもり。
ネアダネル=黒い。フェアノールを愛していて、素直じゃない彼を可愛いと本気で思っている。
マエズロス=弟たちの面倒をしっかり見ているが、実は基本的に我感せずタイプ。マイペース。
マグロール=笑顔が黒すぎる…。結構ちゃっかりしている。傍観者タイプ。
ケレゴルム=自分大好き&趣味はナンパ(ぇ)クルフィンと仲が良い。
カランシア=兄弟内で一番の不幸。一匹狼のつもりだけど寂しがりや。素直じゃない。
クルフィン=ちゃっかり屋。要領がかなり良い。
アムロド&アムラス=悪戯大好き!!某魔法少年に出てくる赤毛双子のようなタイプ。

さらにおまけで作中の登場人物の大体の外見的年齢。

ヒロイン=7歳〜8歳
エルラダン&エルロヒア=17歳〜18歳
マエズロス=23歳〜25歳
マグロール=20歳〜23歳
ケレゴルム=17歳〜20歳
カランシア=15歳〜17歳
クルフィン=11歳〜13歳
アムロド&アムラス=8歳〜10歳

あくまで大体です。
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