が成長してから(正確には身体が成長)約1週間が過ぎた。


だが、未だに谷ではの行き成りの成長振りに驚き、動揺を隠せないでいた。




それもそのはず、1週間前はとても小さくくるくる表情の変わる
見ているだけで頬を緩めてしまうような朝日のような少女。


だが、今となっては見ているだけで鼓動が早くなり、体温が上昇するような
蠱惑的な女性へと変貌していた。







初めは外見がどれだけ変わろうと中身は子供エルフの

一度口を開くとやはり子供で。



だが、それが1週間も経つと外見とつりあうように性格まで変わる。


仕草一つひとつがまるで男性を誘っているかのようで。


館内の男性の感情を昂ぶらせる。






通り過ぎる時、武官達に励ましのあいさつをするだけで
その流し目に胸が躍る。


ある意味谷の男性エルフは喜ぶべきことなのかもしれない。






姉にあたるアルウェンとは違う魅力。



アルウェンは夕星姫と言われるだけあり、エルフ1の美貌を持ち合わせている。

だが、それと同時にその美しさのあまり近寄りがたさを漂わせていた。

(一度でも彼女と話すとそんなことは感じなくなるが…)


それに対し、香油によって成長をしたは、アルウェンに敵う美しさは無いにせよ、
無意識に異性を誘惑する行動、仕草をしている。

以前とは違う意味で周囲を魅了していた。







だが、そんなの変化を良く思っていない人物達もいた。



まず、の実の兄達、エルラダンとエルロヒア。


「「僕らの可愛いが〜…あんな風になっちゃうなんて…」」



今まで愛情の裏返しとでも言うように妹をからかうのを楽しみにしていた二人。


すぐにこちらの期待を裏切らない反応で怒るか泣きそうな表情になる。



そして、二人がやりすぎになるまえにに謝り、果実や物語の本をプレゼントすると
まるで花が咲いたかの様な笑顔になる。


その瞬間がエルラダンとエルロヒアは大好きだった。




だが、今のは双子のからかいにも軽くあしらい、平たく言うところの
大人の余裕で簡単に相手にしていた。

そんな反応は双子にとっては楽しくないだろう。





さらに、の身の回りの世話をしていた侍女たち。


成長したはアルウェンの服を着ていたが、必要以上に肩を出し胸を強調し
脚を組んで露出する。


侍女たちもそんな行動に注意をしないわけがない。

だが、そんな忠告を聞くわけも無い。




双子達と同じく軽くあしらうだけで全く改心する様子は無い。






他、父のエルロンドも同様現在のを良く思っていなかった。

いや、彼の場合は行き成り訪れた娘の早すぎる反抗期に動揺していただけだが。











だが、多くのエルフの中で一番今のにショックを受けているのは
顧問長でありの教育係でもあるエレストールだろう。




裂け谷の結界の外に出た事件から、はエレストールに気に入られたくて
熱心に勉強に勤しむようになっていた。


しかし、成長してからはそんな様子は無い。





エレストールが勉強のことを言うと

『別に今日しなくてもいいじゃない。それよりお茶しましょう。』と、言う始末。





初めの内は身体の変化のせいで、勉強に身が入らないからだろうと思っていたが、
実際はのただの我侭ということに気づく。















そして、今日も書庫ではエレストールの怒鳴り声が響く。




「姫!!いい加減にしてください!!いくらこのような状況といっても勉強を疎かにしては
 今までの知識が失われてしまいます!!」



「大丈夫だって。だいたい勉強して何になるのよ。」




髪を弄りながら言う

そんな態度に本気になって怒るエレストール、



「何になる?ではあなたのように男性エルフに色目を使って何になるのですか!?」


そのエレストールの言い草に少しむっとするが、妖艶な笑顔を浮かべて返す。



「別に色目なんて使ってるつもりはないわ。ただ、あたしは大人になったわけだし
 自分の魅力を最大限に発揮してるだけ。」





足を組んで髪を掻き揚げる。


「姫、行儀が悪いです。
 そんな屁理屈を言う暇があったらさっさと歴史書を開いてください。」




の誘惑をさらりとかわし歴史の資料を開くエレストール。


だが、当のは一向に歴史書を開こうとはしない。

それどころは向かいに座っているエレストールに微笑んでいる。


「姫?」




“早く準備してください”と言おうとすると、いきなりは立ち上がる。

エスケープするつもりと思い静止しようとするが、予想とは外れてエレストールの後ろに立つ



「姫、早くいすに戻ってくださ…」


そこまで言い掛けるが、最後まで言い終わることが出来なかった。


その理由はが後ろからエレストールの首に手を回し抱きしめてきたから。



「勉強よりもっと別のことしましょ?」


エレストールの髪を指先で弄ぶ。

首筋に吐息が掛かり、思わず肩が震える。




「ね、エレストール。あたし綺麗になったでしょ?」


掠れる様な声でたずねる

エレストールは一度瞳を伏せると、絡み付いている腕をやさしく取り除き
の方へ向き直った。



そのまましっかりその瞳を見据えるとはっきりした口調で答えた。



姫…今のあなたに女性的な魅力どころか、一エルフとして全く魅力を感じません。
 はっきりいって今の貴女は最低です。」








「……え?」









そこまで言うと、スッと立ち上がりにかまわずその場から立ち去る。









ただ一人残された書庫で、呆然と立ち尽くす。







「…なんで……?どうして…?あたしこんなに綺麗になったのに……」





すると、先ほど机の上に置いた鏡が目に入る。



そこに映ったのは、似合わない化粧をして服を下品に肌蹴させているいやらしいエルフ。




そんな自分のみっともない格好に驚き、いてもたってもいられなくなり書庫を飛び出した。





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2004/04/11



とりあえず、コメントないですね…。
無いというかしにくいです…。


それでもどうにかしてつけるとなるとただ一言。


ごめんなさい!!!
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